きまぐれ

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2015.7.20 球団の狙いピタリ イチローが促す若手の意識変化

ネットの海をさまよってて発見。記事公開当時も読んだけど、これは残しておこうと。

 

球団の狙いピタリ イチローが促す若手の意識変化 :日本経済新聞

スポーツライター 丹羽政善
2015/7/20 6:30

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■ロッカーに昔のイチローのユニホーム

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 イエリッチのロッカーに、マリナーズのユニホームがかかっているのが見えた。袖口のロゴは、紛れもなくマリナーズのそれ。その後、「それ、マリナーズのユニホームだよね?」と聞くと、イエリッチはニヤニヤしながら、ユニホームの背中をちらっとだけ見せ、さっと隠した。

 背番号「51」。その上には、ICHIROの文字。もちろん、サイン入り。

 予想はしていたが、まさか本当にマリナーズ時代のイチローのユニホームがあるとは。もう、売られてはいないはずだが、どうやって手に入れたのかと聞くと、「俺だって一応、大リーガーだぜ」とイエリッチはニヤリ。選手ならある程度、なんとでもなると言いたげだった。

 サインが欲しいなら、ボールでもバットでもスパイクでも、イチローにお願いすれば、何でもしてくれるはずだ。マーリンズのユニホームなら、それこそいくらでも手に入る。しかし、なぜあえてマリナーズのユニホームなのか。

 それを聞くとイエリッチは、「自分が子供の頃、見ていたのは、マリナーズイチローなんだ」と言った後、こう続けた。「ファンになった時のイチローは、マリナーズの選手だったから」

イチローと同じスパイクで俊足に?

 マーリンズイチローはチームメートだが、マリナーズイチローはファン。彼の中では区別があるようだ。ちなみにイチローマリナーズでデビューした01年、イエリッチは小学生。テレビの前で、日本から来た初の野手に目を奪われていた。

 別の形でイチローと接点を持つ選手もいる。先日、マーリンズのクラブハウスにいると、後ろから肩をたたかれた。振り向くと、マイク・モースが何も言わず、ニヤニヤしながら自分の足元を指さしている。はっと気づいたときにはもう、彼は扉の向こうに消えてしまったが、紛れもなくそれは、イチローと同じ「ビモロ」のスパイクだった。

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 感想を聞くと、「これまでとは全く違う」とどこか戸惑いを口にしたが、それでいて他の選手にはスパイクの裏側を見せ、歯が13本あることの効用などを説明している。すると、6月終わりから7月あたまにかけて4試合連続本塁打を放ったジャスティン・ボワーが関心を示し、「履いてみたいんだが……」とイチローの通訳にサイズを伝えていた。

 「モースの話では、バランスが改善され、故障も防げるようになる、とのことだった。なら、試してみたいと思って」。ボワーは「これでイチローのように盗塁できるようになるかな」とも話したが、一塁到達が6秒ぐらいかかる彼では、ちょっと無理だろう。

■多くの若手選手、道具を見直すように

 少し前の話になるが、ゴードンのロッカーにイチローと同じバットケースが届けられた。キャンプのときにイチローのケースに興味を抱いたゴードンが、同じものをお願いしたのだ。残念ながら彼は、左の親指を脱臼して故障者リストに入ってしまったが、シーズン当初はイチローが04年に作った262安打のシーズン最多安打記録を上回るのでは、というペースでヒットを重ね、イチローとの類似性が米メディアでも話題になるほどだった。

 さて、イチローに誰よりも影響を受けているのはモースだが、彼は「意識が変わり始めている」と話す。「イチローの道具へのこだわりに影響されてか、多くの選手が道具を見直すようになった」

 かつてマリナーズエドガー・マルティネス(現マリナーズ打撃コーチ)という選手がいた。彼は新しいバットが届くと、一本一本、重さを量ってチェックするほどのこだわりがあった。若いマーリンズの選手らはこれまでそういう選手との接点がなかったが、今、イチローという存在が、若い選手の野球への取り組みに変化を与えているように映る。マーリンズイチローと契約した一つにそうした理由もあったとしたら、狙い通りである。

 そういえば、09年にマリナーズがグリフィーと契約したときも、同じような意図が背景にあった。しばらく低迷期にあったマリナーズはあの年、85勝を挙げて勝ち越し。シーズン最後の試合終了後、イチローとグリフィーは、みんなに担がれて場内を一周し、そのときイチローは「あれはもう生涯忘れない出来事になるんじゃないかな、という余韻が残っている」と話していた。

 今年はどんなチームなのか。「ここはとにかくチームメートに恵まれている。それが一番の大きな支え」とイチロー。「それ以外がぐちゃぐちゃでも、その支えがあるかぎりは、なんとか切れずにやっていける」

 取り巻く空気が、6年前のそれとどこか似ている。